先日、「WRO Japan」の記者発表会が行われましたので、その模様を紹介します。
▲WRO Japan実行委員会の小林靖英氏からWROについての概要紹介。
各部門の紹介や、チームの人数、使用するロボットキットなどが語られました。
大会のスケジュールとしては、7月~8月に国内公認予選会(25か所)が行われ、
9月12日にはWRO Japan決勝大会(会場は夢の島)、そして、11月6日~7日にはフィリピン・マカオにてWRO国際大会が行われる予定です(32の国と地域が参加)。
WRO Japan実行委員会・審査委員長の山本利一教授による「オープンカテゴリー」の紹介。
オープンカテゴリーとはテーマに沿ってロボットを自由に作って発表するという部門で、レギュラーカテゴリー(競技部門)の20~30倍のパーツを使うのが特徴です。今回は「国や文化遺産をロボットで紹介する」ことがテーマになっています。この部門への参加チームは、作品紹介のムービー(最大2分間)を提出し、それを元にビデオ審査を行うそうです。
続いて、WRO Japan 実行委員会・技術委員の吉野和芳先生からは、レギュラーカテゴリーの詳細が発表されました。
“スタートエリアを出発したロボットが,ピンポン玉を拾い,ライントレースしながら数箇所の障害物を走破し,ピンポン玉をゴールエリアに運ぶ競技.”とのことです。
▲中学生部門競技「ロボット迷宮アドベンチャー」の説明。
“スタートエリアを出発したロボットが,自動開閉ゲートを通過し,トラップを落とし,お宝をゴールエリアに運ぶ競技.”とのことです。
今回、新しく「自動開閉ゲート」という要素が登場しました。布のシャッター(触れたら減点)が開閉することで、ロボットを妨害します。動いてる様子を次のページで公開します。
http://www.youtube.com/watch?v=zyBXiuAf0UE
“ベースキャンプを出発したロボットが,2本のポールを順次登り,ポール上部のピンポン玉をベースキャンプに運ぶ競技.”とのことです。
最後に、参考ロボットを使ってデモンストレーションを行いました。2種類のロボットを使って、両方とも成功してました。
このロボットを作ったのは、神奈川工科大学の生徒さんです。その中には過去にWROで活躍した磯子工業高校のOBの方々も含まれているようです。
▲文部科学省の上野耕史氏による「新学習指導要領」についての発表。
上野氏の肩書は全部で3つあって、「文部科学省 初等中等教育局 教育課程課 教科調査官」「生涯学習政策局 参事官(学習情報政策担当)付 科調査官」「国立教育政策研究所 教育課程研究センター研究開発部 教育課程調査官」とのことです。
WROと新学習指導要領にどんな関係が? と思われるかもしれませんが、中学の技術家庭には「制御」の要素が新しく盛り込まれていて、その勉強方法としてロボットが有力視されています。その関係もあっての、ゲストだと思われます。
今回、初めて知ったですが、「科学技術」は「科学」と「技術」の2種類に分けることができるそうです。今までの教育では「科学」(正解を求める・法則を学ぶ)だけではダメで、「技術」(こうしたいと思う・最適解を求める)にも力を注ぐ必要が出てきたとのこと。
ただ、「欲しいモノを作る」という考えが持てなかったり、製品がブラックボックス化されていたり、技術方面の逆風もあるようです。
この後、埼玉大学教育学部の山本利一教授から教育現場の報告がありました。たとえば、小学校では「総合的な学習」や「理科」の授業で、中学校では「技術家庭」の授業(プログラムによる計測・制御)、高校では「情報」の授業で、ロボットのプログラムを実践してるようです。
最後に小林氏から、WROの役割について語られました。WROへの参加者は5~10年後に会社に入るとのこと。30年後の日本を支え、未来を担う人材を育成するそうです。企業の支援が必要であるという点を強調していました。
このほか、講師を育成するロボット講習会や親子向けロボット教室も紹介されました。
WRO Japan公式webサイトをご覧ください。
http://www.wroj.org/