現在、アフレルでは、エンジニア/教育関係者を対象に、全国の100か所で発売前の「教育版レゴマインドストームEV3」を体験できる「キャラバン100」というキャンペーンを行っています。
▲6月29日、その「キャラバン100」の目玉として、あのクリス・ロジャース(Chris Rogers)さんをお招きしたスペシャルワークショップが行われました。
会場となった日本科学未来館には、20名弱の参加者が集まりました。
▲なお、クリス・ロジャースさんというと、「ROBOLAB」の開発メンバーでもあり、タフツ大学の博士でもあり、「CEEO(Center for Engineering Education and Outreach)」という大学内にある教育センターの監督でもあるという、凄い人です。ROBOLABを立ち上げて、「About」を選択すると、クリス先生のお名前とCEEOがクレジットされています。
ちなみにROBOLABは開発が止まっていますので、ユーザーさんはNIの「NI LabVIEW for LEGO MINDSTORMS」に移行していくか、NXTソフトウェアに乗り換えていくことになると思います。あと、最近では、LabVIEWの中でROBOLABが動作する「ROBOLAB for LabVIEW」というソフトも公開されているようです。
▲ワークショップが始まりました。
最初のお題は、「車輪以外の方法で動くものを何か作ってください」というもの。
特に説明もなく、いきなりEV3とパソコンに触ることになりました。
ちなみに、使用したEV3ソフトウェアはまだベータ版でした。Mac用です。
▲ものすごいアバウトな課題で戸惑いましたが、これがクリス先生流のやり方のようです。
先生はテーブルを巡廻したり、簡単なサンプルを作って見せたりして、進めていきます。
20分かけて、参加者の皆さんはそれなりに動くものができました。
▲2番目のお題は「楽器を作る」というもの。
まず、超音波センサの測定値を「しきい値」と比較して音を鳴らすことにチャレンジしました。EV3ソフトウェアでは、「Experiment」という機能を使って、データロギングの中にプログラムを埋め込むことができます。
自分の場合、作ったプログラムをインテリジェントブロックに転送しないといけないことに気が付かなくて、ドハマリしました。
続いて、距離と周波数が連動して音を鳴らすというプログラムを作りました。センサブロックとサウンドブロックをワイヤでつないだり、ループブロックを使ったり、結構、高度なプログラムを作る必要があります。
さらに、「音を鳴らして動くものを何か作ってください」という、お題が出されたのですが、時間が無くて作れなかったです。
▲猛スピードでどんどん課題が変わります。
3番目のお題は完成品のロボットを使って「障害物の10cm手前で止まるようにしてください」というものでした。
いったいどうなることかと思いましたが、皆さんそれなりに手前で止まることができました。
、、、部屋でスタッフがフリスビーを投げ合っていたり、日本とはノリが違います。楽しそうな環境です。
▲「学び」とは何か? という話では、教える側としての心がけを聞くことができました。
新しいものを生み出すためには創造力、イマジネーション、問題を解決していく力が必要で、そこでは「違う結果にたどり着くこと」が重要だそうです。誰もやったことがないことにチャレンジするには「リスク」を取る必要がある、、、。
大切なのは、「失敗すること」を教えること。
失敗することを奨励するため、教える側としては、なんだか分からない課題、ごちゃごちゃっとした課題、学習者が自分の答えを見つけられるような課題を出すことが重要とのことです。先ほど悪戦苦闘していたムチャぶりの課題には、このような意味があったわけです。
正解だけを追う一問一答型の教育とは、まったく逆に向かっているところが興味深いです。
▲「教える側」の人たちへのアドバイスが続きます。
「教えること」について、4つのポイントは次のとおりです。
・1、子供たちが好奇心を持つこと。好奇心を持つと「なぜ(why)」と思う。
・2、答えを見つける情熱。(learning)。
・3、ためしてみる。反省(reflection)。
・4、自信。他の場面で活かす(transfer)。
このへんはちょうど、今月の「ロボコンマガジン」(2013年7月号)で、森先生の連載の中にあった「本当に優れた教師は心に火を点ける」という一文と符合しますね。ちなみにこの言葉はイギリスの教育学者さんからの引用だそうです。
▲生徒の作品がいくつか紹介されました。
タフツ大学の学生が作ったという、空飛ぶNXTが衝撃的でした。4枚のプロペラと高速モータを搭載していてちょっとだけ空を飛んでいました。こういうのは「落ちて壊れたらどうしよう」と思ってしまうところですが、躊躇せず飛ばしてしまうあたりが凄いです。
詳細はこちらをどうぞ。
最後に、クリス先生が強調していたのは「楽しんで取り組むこと」。楽しむことによって、学習者が積極的に参加することが重要だと語っていました。
以上でワークショップの前半は終了しました。
▲ワークショップの後半では先生役をアフレルの軽部さんにバトンタッチして、ライントレースロボットをみんなで作って競争させました。