今回のレギュラーカテゴリーの競技中(組立て中)に、韓国のチームがロボットの部品である輪ゴムが足りなくなり(おそらく切れてしまったのでは)、困ってました。WRO委員会、大会事務局ではこうした事態には手をかせません。国際審判がどこかのチームで余っていたら借りてはどうかとなり、ある日本チームが自チームでは使わない輪ゴムを貸してあげました。
この韓国チームは見事メダル獲得。公式ディナーの際に、韓国WROの委員長が私に「とても感謝している、お礼を日本の選手たちに伝えてほしい」とありました。
日本の選手も、コトをちゃんと伝えた韓国の選手も、エライなぁ。
今回の国際大会ではオープンカテゴリーで日本チームが小中高の全部門で入賞しました。初めてのことです。オープンカテゴリーには2008年から参加スタートし、昨年高校生部門で入賞1、そして今年3つ入賞となりました。
”英語”で”プレゼン”という2つの難関があります。日本の学校教育では世界相手にこの2つをやるのは難しい、というのが大方の関係者(大人)の考えでした。しかし、選手たちはそんなことは気にしてないのでは?と思います。 指導者、関係者からは「英語ではハンディがある」という声も聞かれます。しかしWROに参加する国地域で英語が公用語のところは少数派です。オープンカテゴリーで入賞常連の韓国、台湾、マレーシア、タイ等、みな公用語は英語ではありません。日本の教育レベルを考えてみれば、日本の選手たちの英語力はアドバンテージがあると考えてよいのではないかと思います。
もう一方の”プレゼン”はどうでしょう。今回の日本の入賞チームを見ていると、演技できてるなーと思いました。”自然に”とはなかなかいかないのですが、”伝えよう””日本を伝えよう”というのがよく表現されていました。見る人を巻き込む、見る人にインパクトを与える、期待感を持たせるといったところです。
日本の選手たちはできるのだと思います。私たち関係者がそれを”日本人は・・・”とか”日本の教育では・・・”とフタをしてしまうようなことはあってはいけません。20世紀までの日本の教育の基本は「読み、書き、そろばん」です。”話す”は、はいっていません。私たちの世代以上は”男は黙って”が美徳です。日本の教育では特に90年代以降これは変化しています。授業の中に”話す””伝える”が以前と比べれば多くなっています。現在の中学生の英語教科書では会話形式の題材が多くなっています、お子さんのいる方は一度教科書をご覧あれ。
明らかに私たち世代とは違います。”日本人は英語が苦手だ”なんて、自分たち世代がそうだから選手たちまでそうだと勘違いしないようにしなくてはと思います。彼ら彼女らはドンドンやっていけるんだと思います。
国際大会に複数回参加している日本チームの指導者の方が、今年のオープンカテゴリー参加チームの活躍を見て「日本の新しい時代の幕開けだと感動した」「表彰式では自チームのことでもないのに目がうるうるした」と述べられていました。私も共鳴します。
WRO Japanの活動目的には「国際的に通用する人材の育成」があります。「国際的に通用する」とはどういうことなのか。これは議論継続中で明確な回答はまだないのですが、おぼろげには「国際的な集まりでChairを務めることができる」ことを考えています。例えば、RTミドルウェアの標準化をOMGにて日本の研究者が中心となって推進されたことがあります。http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2006/pr20061006_2/pr20061006_2.html
国際的な標準化や取り決めを推進していけるということなんですが、こうした国際機関だけの話ではなく、例えばグローバルなビジネスの中で、技術者や研究者の集まりの中で、「じゃあ、みんなこれでいこうぜ」と推進できる人、というような感じです。意見を言える、意見を聞ける、協調を働きかける、コミュニティやチームを動かせる、といったことでしょうか。
いろんなことがあったWROマニラ国際大会。20年後30年後の彼ら、彼女らに期待して。MABUHAY!
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